陽春、4月17日の日曜日、知人の長男の結婚式に招かれ、葉桜に少し残った花を見ながら駅に向い、上野から信越線に乗って島崎藤村でおなじみの長野県小諸市まで出かけました。
4月の長野は寒く、桜は、東京に比べると平地で20日から山間部では40日も遅れて咲くのです。
長野生まれの私は、普段は中央高速を利用して車で帰郷するのですが、今回は昼の式に間に合うように電車で長野入り、気が付いたら電車で帰るのは20年振りになりました。
朝9時30分に上野を発車する "あさま7号”の指定席に座ったのですが、客車一両に5人ほどしか乗客はなく、日曜の満員列車を予想した私は「大宮で乗ってくるだろう」と思っていたのです。
ところが、大宮から高崎を過ぎても人数は変わらず、検札に来た車掌さんに聞いてみると、「金曜から土曜に移動しているので日曜は何時もこの程度です」とのこと。
方々旅行して、駅弁も色々食べてみましたが、「何が旨いってったって、横川の釜めしが最高だぁ」と何時も思う、何を隠そう私は横川の釜めしの大ファンなのです。
時々、デパートや商店街で "駅弁大会”などを開催します。ああいう場所に遭遇すると、まず一番先に釜めし売場に直行し、もし売り切れていたら、肩がガクッと落ち歩くことさえおっくうになってくる。
ところで、車掌さんに切符を見せて、往復とも横川駅に止まる事は確認済みですが、売り切れたら困るので、横川駅に電車が止まると背中を丸めて売り子さんまで走るのです。
「誰かに釜めしを取られたら困るから」と、まだ昼には早いのですが食べ始めます。桜満開のホームで買った炊き立ての釜めしは、地下食料品売場で買ったのとは味も雰囲気も段違いですからねぇ。
塩分摂取は黄信号ですが、小さなケースに入ったオシンコが旨い、中の細ゴボウと横に並んだ小ナスが大好きなのです。「小さいが丸ごと入っているのが嬉しいねぇ」と連れに言い、箸で持ち上げた小ナスは、悲しいことに半分だったのですが。
引 出 物
(昔、馬を庭に引き出して贈ったことからついた言葉だそうです)
ほとんどの婚礼には、大きな引き出物が付き、とくに、毛布や夏掛け・肌掛け・枕?などの寝具類が多いのですが、あの大きさは、「確かに渡しましたよ」と印象付ける為でしょうか。
今回も、式場の自分の席の脇に「貴方の分ですよ」と置いてあり、そうでなくても窮屈な席を余計にせばめて印象を植え付けます。
肌掛けらしき物の脇に瀬戸物らしき箱もあります。婚礼祝い品は、寝具類・瀬戸物・なべ 釜などが、重量感・見栄え・印象付けに最良の品物なのでしょう。
突然ですが、お通夜に出席すると、小瓶のお酒と砂糖が定番でした。ところが最近は、鳥類や花模様のテレフォンカードを頂戴します。これは持ち帰りにとても助かるのです。かと言って、婚礼帰りに、引き出物のカードをポケットに入れて手ぶらでは形作りに成らず、悩んだ末の肌掛け布団・・・でしょうか・ねぇ。
招 待 状
遠路、愚痴言いながら夏掛けと瀬戸物をぶら下げて我が家に帰ったら、郵便受けに四角い封書が入っておりました。・・・嬉しいことに、6月にまた肌掛けが一枚増えそうです。
- 『神さまってなに?』森達也著 - 2024年11月20日
- 『同志少女よ敵を撃て』逢坂冬馬著 - 2024年11月17日
- 『いえ』小野寺史宜著 - 2024年11月6日