『天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出(い)でし月かも』
この歌は、日本で作られたのではなかった。
遣唐使で唐に渡った阿倍仲麻呂が異国の地で詠んだ歌。
その阿倍仲麻呂(中国名 朝衡)は、科挙に合格し玄宗に仕えた。
玄宗、いや唐を支える重臣として、その生涯を唐に捧げるのである。
その朝衡も、ときの宰相の陰謀により、唐から日本への帰還命令が下ってしまう。
しかし、帰国途中の沖縄で暴風に会い、遣唐使外・・・でなかった見当違いのベトナムへと流されてしまうのである。
そこからの唐への復活が見事というしかない。
大冒険スペクタクルの一冊であること間違いなし。
(辻原登著 翔べ麒麟)