日本書記によると、神武天皇の時代の人々は『巣』に棲み『穴』に住んでいたと言われますが、新宿などにも、ダンボール箱に住み、新聞紙の布団を身体に巻く粋な人類も居て、寝具の歴史は多様です。
「冬の夜には羽毛布団が無ければ眠れない!」などと、最近の人間はかなり贅沢になっておりますが、縄文や弥生時代の人々は寝具として何を使用していたのでしょうか?。
日本の各地で発掘されている竪穴式住居にも、篠(シノ)や茅(カヤ)などを重ね、敷物や夜具として使われて居たようですが、習慣とは言え真冬の夜などの寒さは辛かったことと想像できます。
人生の三分の一は寝ている上に、「寝るより楽はなかりけり」とも言うほどに重要な睡眠、その眠りも深くぐっすりと熟睡するのには、布団の役目が大きく影響しております。
布団・蒲団
西暦1255年頃の、道元禅師(ドウゲンゼンジ)の座禅儀の中に、『蒲団』と言う語句が書いてあり、この場合の蒲団は、禅僧が敷く、蒲(ガマ)の葉で編んだ座布団の事でした。現代は、綿や布地を使用しているのですから、蒲団よりも 『布団』と言うのが正しいような。 (中綿に蒲の穂を使った事も有るようです)
布団の始まりは、敷き布団にあたる物を、『タタミ・ムシロ』と言い、掛け布団にあたる寝具は、着物風の中に真綿を詰め、『フスマ』と呼び、(衾.被の字をあてる) 西暦16~17世紀頃から、夜着(ヨギ)蒲団として使われたそうです。 (江戸末期の生活重要物資は、米・麦・塩・綿で、庶民は綿を使えなかった)
布団の中に入れる材料には、藁(わら)を入れた藁布団も有り、天然繊維の 綿(ワタ)が主流でしたが、昭和33年頃にポリエステルが登場し、綿の半分の軽さから普及し掛け布団に多く使用されています。
吸湿率が木綿の2倍も有る『羊毛』も軽くて、手入れが簡単なため人気が有ります。また最近は、円高で安く成った『羽毛』の人気が大きくなっています。
源義経(1159年生まれ』の座布団も、篠や蒲で編んだものです。(大河テレビは畳表(イ草)でしょう)
羽毛は、ダウン(綿羽)、スモールフェザー(小羽根)、フェザー(羽根)、と分けられます。ポーランドやハンガリーなどの寒い地方で育った水鳥から採れる物が最高で、中国が最も多く、次いで台湾です。
羽毛布団には、グース(がちょう)や ダック(かも)などの胸のまわりから採れる、ダウンと腹のあたりのスモールフェザーを使います。(布団1枚に1.3~1.5キロ程度)
ダウンの混ぜ率が50%以上のものを 羽毛布団、スモールフェザーが50%以上のものを 羽根布団と言い、ダウンが90%以上の物が軽くて保温性が良いのです。
最近は、デパートや量販店が中国などで大量に現地生産し、コストを下げて羽毛布団の安売りを致します。信用有るお店で買えば1万円程度の羽毛布団でも、5年や10年は問題無く使えますからお試し下さい。
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