花粉症が流行って困りますねぇ。花粉症といえば『杉』が筆頭ですが、今回は杉と花粉のお話しです。
木造家屋の建築材の柱に使うのは『桧(ひのき)』が最高で、次が『杉』でしょうか。桧や杉でも、木曾と秋田と京都の近くの北山というところで採れるものが値打ちがあり、値段もそれなりになります。
例えば和室の六畳間の周りを見ると8本程度の柱がありますが、その一本の柱に、節が全く無いものと何箇所かに節穴を埋めてあるものがあれば、双方の値段にはかなりの違いがあります。
最近では、薄い板を張り合わせて柱を作り、表面だけに薄い節の無い板を貼り付ける『修整材』というものもありますが、節の無い本物の木の柱との値段には5倍ほどの差があるそうです。
柱の四面を見て全く節がないものは『四面無節(よんめんむぶし)』といって、超、が付くほどの高額になります。次が『三面無節』『二面無節』となりますが、四面と二面では金額に3倍以上の差が出ます。
高額で売れる『三面無節や四面無節』の柱を作るのに、どのようなご苦労があるかと言いますと、植林してから5年ほど経った桧や杉の若木の下のほうの枝を丁寧に切り落とします。
そして、枝を切り落とす作業を35年から50年という長い年月を続ければ、高さが15mほどに成長した木の上のほうだけに枝が残り、地面から7mほどの所までに枝の無い木が育ちます。
柱の節は、枝が中に食い込んでいく筋ですから、枝が無ければ節の無い柱が採れます。二階建ての木造家屋は、高さが6mの材木で足りますから、6mに枝の無い材木なら一階から二階まで節が無い柱になります。
交差点で横断歩道を渡ると、向こう側から来る人の三人に一人は鼻の先が尖ったマスクをしています。今年は花粉症の当たり年だそうで、くしゃみに涙、マスクに目薬に抗生物質、何とも迷惑な話ですよねぇ。
昨年の春、私の血液検査をしてくれたお医者さんに「スギ花粉の数値が出ていますから・・」と言われて、情けないことに私もあの日から花粉症の仲間入りをしてしまいました。
それで、今年の春は鼻水と涙などで苦しんでいますから、風邪と重なったりして、目やにまで出て結膜炎状態でもあり、何ともうっとうしい毎日を過ごしています。
確か、30年ほど前には、「花粉症」などという病気は無かったはずですし、今ほど大勢の人がマスクをした姿で出歩いていたことも記憶にはありません。
では、何故、近年になってから花粉症が増えているのでしょうか?。私の考えでは、まず、食生活が欧米化して、「高たんぱくの肉食」が悪影響を与えていることが一番の原因と思っています。
次に、自動車が増えエアコンや家電も公害を撒き散らし、建物も道路もコンクリートで作られ、花粉が地面に染み込まず、排気ガスなどと混ざって化学反応を起こすという事情もあるようです。
もう一つ、近年、建築資材として、アメリカやロシアから輸入される、通称『ベイザイ』を使うことが多くなっていますが、これは、国産と違って、広大な森林から格安で仕入れてくることができます。
30年ほど前までは、良い柱を作るために、杉や桧の枝の下のほうを切り取る作業を行っていたのに、輸入木材が安くなったために国産の材木を育てる意味が減り、杉林の手入れをする人が居なくなりました。
杉の木から花粉が飛ぶ様子を見ていると、木の下のほうに広がった枝から湧き出すように飛んでいるのを見るに付け「従来の枝を切る習慣が残っていたら花粉も少なかっただろうに・・」と私は思うのです。
採算の合わない杉の木を育てることが無理とすれば、所詮「杉の木は山に要らない」わけですから、この際、全部の杉の木を切り倒して、花粉の無いケヤキや楠木などに植え替えたらどうでしょうか。
日本人の小魚を食べる習慣を、マクドナルドやケンタッキー、ピザなどの欧米型の食品に侵され、輸入の材木までもが花粉症の人を増やして日本人の身体を痛めつける。何とも情けない話しですよねぇ。
花粉症になると、急に食べ物に注意するようになりますが、昨年は「花粉症にはヨーグルトが一番!」と言われたのに、今年は「トマトジュース」だそうですから、来年は「煮干とワカメのスープ」でしょうか。
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